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海とヒトの関係学③  海はだれのものか

著者 秋道智彌
角南篤
定価 1,600円(税抜)
発行年月日 2020年3月4日
判型 A5判並製 240ページ
ISBN 978-4-908443-50-3
Cコード 0056
刷り 1刷

内容紹介

海と人間を取り巻く環境について様々な視点で考察したシリーズの第三弾。
昨今隣国との揉めごとで注目を集める海の境界線。
そもそも海は誰のものなのか。
海についての歴史、資源や漁業、領海をめぐる様々なせめぎあいについて、多様な分野の専門家が考察します。

 

目次

・はじめに 資源はだれのものか
 海洋資源とその特徴/資源の生態と所有権/産卵群をめぐる競合
 /無主から共有へ/さいごに

【第一章】なわばりとコモンズ

1/なわばりと紛争の海
 海を越える人びと/海洋空間とアクセス権/なわばりと入会/紛争の海
 /なわばりと輪番制/おわりに

2/漁業権とはなにか?―海の排他主義を問う
 はじめに/日本における漁業権の歴史/オストロムの教え/日本の漁業権の内容
 /海の排他主義は近年世界的に強化される傾向
 /排他 主義が漁業で許容される理由/海の排他主義に異論が出る理由
 /海の排他的主義への異論に対する対処法/二〇一八年の漁業法改正
 / 漁業法改正への賛否両論/結論―そして漁業権とはなにか

3/クジラ取りの系譜 ―生業捕鯨と商業捕鯨
 はじめに/世界のクジラ取りの系譜/日本のクジラ取りの系譜
 / アラスカ地域のクジラ取りの系譜/クジラ取りの将来

・コラム◎IWC脱退と日本の捕鯨

4/閉鎖される海
 はじめに/ペルシャ湾(アラビア湾)/カスピ海/北極海/おわりに

【第二章】越境する海人たち

5/ナワバリに生きる海人―日本中世の〈海の勢力〉をめぐって
 はじめに―「海賊」、「水軍」、「海の武士団」/海のナワバリ
 /〈海の勢力と倭寇の違い/ナワバリと船の旗/おわりに―〈海の勢力〉の行方

6/ヴァイキングが切り開いた北極圏交易―セイウチの牙をめぐるグローバルな経済構造
 ルイス島のチェス駒/ヴァイキングの拡大/ヴァイキングの交易世界
 /ノルウェーと北大西洋世界への拡大/グリーンランドの 「発見」
 /セイウチの牙をめぐる交易/チェス駒をめぐるグロー バルな経済構造
 /グリーンランド放棄をめぐって

・コラム◎環オホーツク海地域をめぐる古代の交流

7/国境をまたぐ海洋民
 漂海民がいる/海賊もいる/アンダマン海/海はだれのもの?

8/東アジア交易圏の中の琉球
 万国津梁の鐘/琉球の中継貿易/明の優遇策と港湾都市那覇
 /対明貿易と華人/対東南アジア貿易と華人/対日貿易と禅僧・日本商人
 /対朝鮮貿易と対馬・博多商人/いくつもの「顔」を持つ外 交スタイル
 /民間交易ネットワークと王国貿易/「港市国家」と海に開かれた歴史

・コラム◎開国への扉を外から叩いた男―幕末の漂流民、音吉

【第三章】海のせめぎ合い

9/いま東アジアの海で起きていること
 海の役割と海域の法的区分/「せめぎあい」の複雑化と尖鋭化
 /東シナ海の「せめぎあい」/南シナ海の「せめぎあい」/パワーゲームと海軍力展開

・コラム◎南シナ海に関する比中間の仲裁手続における仲裁判断の意義

10/海底ケーブルのガバナンス―技術と制度の進化
 はじめに/オール・レッド・ライン―イギリスからアメリカへ
 / 同軸ケーブルの時代―政府主導から通信事業者の共同事業へ
 /同軸ケーブルから光海底ケーブルへ/光増幅および波長多重技術のインパク ト
 /インターネットとケーブル所有者の変容
 /狙われる海底ケーブル―セキュリティとガバナンス
 /誰が管理しているのか/他の海底利用者とのせめぎあい/おわりに

11/海洋境界の争いは解決できるか
 なぜ海洋境界の争いが起こるのか/海洋法の仕組み
 /海洋境界画定に関するルールはあるのか/中国とは何がもめているのか
 /韓国とはなぜもめているのか
 /東アジアの海洋境界画定の争いの解決は、なぜむずかしいのか

・コラム◎大陸棚の延伸

12/「海のジパング」に向けて
 チャレンジャー号が開いた深海の扉/マンガン団塊の発見/海底熱水鉱床の発見
 /海底熱水鉱床の特徴/資源開発とフロンティア
 /来たるべき社会の姿と資源/欧州の資源効率政策
 /別の資源戦略を取る国/再び海へ!/日本の方針―結論に変えて

・コラム◎日本固有の領土と発信力

・おわりに
 入漁となわばり・特権/地球の海のフロンティア
・用語集