オンライン書店からご購入いただけます
著者 | 旧制第一高等学校の生徒たち |
---|---|
訳・編集 | 木戸 崇之 竹田 亮子 |
定価 | 2,400円(税抜) |
発行年月日 | 2023年9月1日 |
判型 | 四六判並製 514ページ |
ISBN | 978-4-908443-83-1 |
Cコード | 0095 |
刷り | 1刷 |
2023年9月1日は関東大震災から100 年。
本書は関東大震災から1年後の1924(大正13)年8月20日に「六合館」から発行された『大震の日』の現代語版です。
旧制第一高等学校(通称・一高)125人と教授5人による、寮があった本郷、赤羽、深川など東京都内から、京都、静岡、朝鮮、中国など、震災時にいた場所からの手記集。
夏季休暇明けの9月1日に未曾有の大地震に襲われた時、彼らは何をしていたのか、そして何を考え、どう行動したのか。当時の様子がまざまざと伝わる筆致で、壮絶な経験を読みとることができます。
今とは比べ物にならないエリート一高生たちの知性に裏付けられた記録は、将来起こるであろう次の震災への教訓にもなる一冊です。
■一高生が被災地にいた場所
一高の寮/ 本郷/ 小石川/ 神田/ 牛込/ 四谷/ 赤坂/
麹町/ 芝/ 芝浦/ 日本橋/ 浅草/ 本所/ 深川/ 新宿/
目黒/ 千住/ 中野/ 横浜/ 鎌倉/ 浦和/ 上州/ 房州/
日光/ 静岡/ 軽井沢/ 滋賀/ 京都/ 朝鮮海峡/ 中国/ 他
※100年前の『⼤震の⽇』は、質の悪いわら半紙に印刷され、⽂章には旧字体の漢字、旧仮名遣いが頻出
し読みやすいものではありませんでした。ただそれを現代⽂に訳してしまうと、若者達の感性に満ちた
、洗練された表現が失われてしまいます。当時の描写をありのままに伝えるため、原⽂を尊重しつつ、
古い漢字を新しくし、仮名遣いを現代⾵に改めて読みやすくしました。
本書について
まえがき
当時の旧制第一高等学校
大震の日
序文
一、旧制第一高等学校の寮
驕慢の円蓋よ 綿貫藤太郎(文甲三三)
混沌の中 田中和夫(文甲三二)
マア平ちゃん 林 平八郎(文甲三一)
裸で 榎本謹吾(文甲二)
火の幕 佐々川晃次郎(文甲二三)
噂は噂を 原義房(文乙二二)
世の終わりか 庄司 光(理乙二一)
天に沖する黒煙 根木辰五郎(文甲一三)
揺残された玉丼 田原睦雄(理乙二一)
一匹の蝶 山本仁智郎(文甲一一)
美しい場面 高橋 貢(文甲一二)
西洋鼈のように 横田英二(文甲一二)
目茶苦茶だ 伊藤米蔵(文甲一二)
銃剣で警戒 都筑輝雄(文甲一二)
一高の生徒ですか 大野敏英(文乙三)
泣くに声なし 小川 孝(文乙一)
恵まれざる人等 服部周二(文丙一)
一人残る 太田慎一(文丙一)
産褥の義姉 越知俊一(文丙一)
胸に熱い雲 木村昇(理甲一一)
勝手にしろ 富本茂業(理甲一一)
心配な兄の家 平野 弘(理甲一一)
これは容易ならぬ 塩田時夫(理乙一二)
あれが雨雲だったら 北川信太郎(理乙一一)
一家上野山へ 坂路壽郎(理甲一三)
二、本郷
月の死相 石田英一郎(文甲三一)
滑稽を感ずる余裕 天野利武(文甲三一)
沖の草原へ 関野武夫(理甲二一)
子供のような気持ち 川野達雄(文甲一二)
爆音の解釈 高野義武(文甲一二)
夜が明けてくれ 石井友壽(理甲一一)
風を起こし浪を起こし 赤堀邦夫(理甲一一)
竹藪の中に 本多 彪(理甲一三)
三、神田
火海焔えんとう濤 清水轍二(文甲二二)
駄目だ行こう 大島治善(文乙二)
下に二、三人居ります 有賀資農夫(理乙一)
鳩三、四羽 荒船清一(文甲一二)
モルヒネはきかぬ 金石一雄(文甲一二)
巷に彷徨う魂 前原正徹(文丙一)
四、小石川
罪ある人のいる所までは 宮本 環(文甲三一)
石壁の炉 岡本 清(文甲一二)
産褥の主婦 安藤銀作(文甲二二)
図書館図書館 小澤 衛(理甲二三)
小笠原島の爆発 伊藤 斌(文甲一一)
異様な気持ち 山路 誠(文甲一二)
合掌して 宮内 乾(文甲一三)
爆発の伝令 加藤威夫(理甲一一)
五、牛込
妙な物が降る 福原 満洲雄(理甲一一)
一本の蛾燭を便りに 酒井 佐昌(理甲一三)
地獄極楽 横山正実(理甲一三)
六、 四谷
たった一人の姉は 横沼一枝(文丙一)
二階に籠る 河野伊三郎(理乙二二)
七、赤坂
赤子の瞳 小長谷透(文甲一一)
八、麹町
よい体験 柳川昇(文甲三二)
頭脳を打たれたような人の顔 田部省三(文丙三)
すべては紅 佐藤太郎(文甲一三)
九、芝
ゴウゴウという風の音 石丸季雄(文甲一三)
祖母と荷物の上に 市川保雄(文丙二)
朱鞘の大小 國房二三(理乙二一)
少佐の公平 前田克己(文丙三)
十、日本橋
丸の内へ 皆川 清(理甲二二)
十一、浅草
一旦助けた家も 吉田政雄(文甲三一)
愛猫に水と魚とを遺して 黒田幸一(文乙二)
無力の人々 谷井毅夫(理甲二三)
眼前で折れた十二階 長屋英明(文甲一三)
余に病父あり 渡邊季吉(文乙一)
これが人間か 後藤榮治(理乙一二)
十二、本所
眼前で切れた女の首 西脇 安(理甲二二)
十三、深川
焔の重囲 細井一六(理甲一二)
十四、東京
火殿烟窟 鄧世 隆(文甲二)
重い静寂 藤田健治(文甲三一)
科学の知識 千頭勝臣(文甲二三)
合理的生活 小塚一男(文丙三)
こおろぎの歌 岩城重男(文甲三一)
学としての存在 山岡龍次(文甲三二)
火の粉をあびなから 稲川鋳一(文甲三二)
裸一貫 上田 豊(文丙三)
小さな共産主義 伝榮 昌(文乙二)
亡友を弔う MST生(文甲三二)
柱は一本二本と火炎 戸澤盛男(文丙二)
医は仁術 石川庸彦(文丙二)
精神的その日ぐらし 神西 清(理甲二一)
自然を顧みた 川上芳郎(理甲二二)
或るもの 鈴木真三郎(理乙二申二)
陣笠冠った父 光田忠雄(理乙二一)
天罰 伊藤道夫(理乙二一)
目が明いて来た 森田邦雄(理乙二一)
地震加藤 成瀬正勝(文甲一二)
火の恐ろしさ 富田善男(文甲一三)
暗黒時代とは 雪水孜郎(理乙二一)
世界第六位の大都会も 臼田正雄(理乙一一)
更生した人々 村越 司(理甲一三)
十五、戸山ヶ原辺
皆真剣だ 清野恭四郎(文甲三一)
十六、大久保
浅あさはか薄な文明 土井哲四郎(文乙二)
十七、新宿
痛恨事 佐治秀太郎(理甲一一)
十八、中野
唯一の力は友 小川四郎(文丙一)
十九、目黒
健康の必要 鈴木竹雄(文乙二)
二十、 千住
天から在学証書 堀越由亀雄(理乙一一)
二十一、東京郊外
祈り 堀 雄一(文甲三二)
木蔭に一夜 佐藤 半(文乙二)
何物でもわからぬもの 和田太郎(文乙二)
破壊は建設 岡本 剛(理甲二二)
姉さんは帰らぬ 中島海三(理甲一三)
二十二、横浜
担架にのせられて 安芸悌一(文甲一三)
二十三、鎌倉
線路を枕に 永田 進(文丙一)
二十四、神奈川県
海に漁火なく 水谷八郎(文甲一三)
習慣の盲信 増原恵吉(文甲三二)
二十五、浦和
黄太陽 松本武夫(文甲一一)
二十六、房州
大浪が二本 徳江 徳(理乙二一)
二十七、上州
みんなが出て見な 福田赳夫(文丙一)
二十八、日光
震前の飯を 渡邊佐平(文甲三一)
二十九、軽井沢
秩父山の噴火 佐奈木俊一(文甲一)
西瓜が一番 草島時介(文甲一三)
赤い東の空 萩原 徹(文丙二)
三十、静岡
自らを顧みて 国塩耕一郎(文甲二二)
三十一、滋賀県
呪の車 湯下謙三郎(文甲一二)
三十二、京都
母の病死 藤本純助(文甲三二)
三十三、朝鮮海峡
海は穏やか 王 剣(理甲二三)
三十四、支那
一つの現象 石潮 白(理甲二三)
三十五、不明
魂の落ち着き所 山根 礎(文甲三二)
いずれを採ろうとするか 大橋武夫(文甲三一)
震災当時の余 稲田清助(文丙一)
自然を畏敬せよ 大山太郎(理甲一一)
生への本能 白岩俊雄(理乙一一)
早く助け出して 土田武雄(文甲一一)
三十六、教授
震災百首のうち三十 今井彦三郎
歌 杉 敏介
歌 村田祐治
怖ろしく、されど美しかりし日(抄録) 沼波武夫
大震十日記 録三 安井小太郎
あとがき